『ガソリン生活』を読んだ感想

読んだ本紹介

こんにちは。甘味です。

本日は、私の大好きな作家さんの小説をご紹介します。

伊坂幸太郎さんの『ガソリン生活』。

主人公はなんとクルマです!

ピクサー作品の『カーズ』が大好きだったり、私の初めての愛車がデミオだったこともあり、

刺さりまくりの一冊でした。

ではこちらの一冊をご紹介させていただきます。

あなたにおすすめ

・車同士が会話しているところを想像したことがある方

・自分のクルマに愛着がある方

・ユーモアを交えたミステリーが読みたい方

本の紹介

『ガソリン生活』

伊坂幸太郎 著

528ページ(文庫)

定価780円(税別)

あらすじ

主人公は望月家の愛車、緑のデミオ。

お人好しな望月家の長男、良夫。

たぶん望月家の誰よりも頭の切れる小学生の次男、亨。

望月家の大黒柱、肝っ玉母さんの郁子。

反抗期真っ盛りの女子高生、長女のまどか。

良夫と亨がデミオに乗せた大女優の不審死、まどかが巻き込まれる怪しい事件。

多くの事件が絡み合い、その謎に望月家が立ち向かいます。

時を同じくして、デミオも隣人(隣車?)のザッパや、街ゆく車たちとのおしゃべりから大女優の死の真相に迫ります。

ハイライト

「ねえ、亨、どう思う?これってやっぱりまずいかな」

(中略)

「小学生の息子にそんなこと訊くなんて、お母さん、末期的だよ」

「亨は普通の小学生とは違うからねえ。いったいどうしてそんなに大人びちゃったんどろうね」

「僕も知りたいよ」

本文から引用

お母さんと亨がデミオの中で話しているシーンです。

亨の台詞は、小学生とは思えない発言が多いですが、ここまで読みすすめてきた読者に驚きはありません。

お母さんと同じ気持ちです。

だって亨だもの。

作中には、あっと気づかされるような鋭い亨の台詞があらゆる場面で出てきます。

何年生?と聞いてきた大人に、僕にも年齢を訊ねたのだからお互い様だよと言ってのけたり、

いじめっこのクラスメイトと担任にダブルスタンダードだよ、と言い放ったり。

一方で、歯医者に行く前は嫌がる様子を見せるなど小学生らしい振る舞いもあり、この振り幅が亨の魅力であることは間違いありません。

「あ」僕はまさにその、ザッパの発言によって、ひらめくものがあった。いわゆる、「ワイパー動くよ」という感覚になる。驚きのあまり、エンジンがかかっていないにもかかわらず、誰も操作していないにもかかわらず、ワイパーが動いてしまうほど興奮した、という意味だ。「ザッパ、まさにそれだ」

これぞ、車同士が会話できる世界での出来事!

この世界のクルマたちは、私たちと同じように感情があり、車同士で話をすることができます。

記者と大女優の事故死との関連について、デミオは何か閃くことがあったみたいです。

クルマたちの感情は、ワイパーが動いちゃったり、ピストンが激しく動いたり感情豊かに過ごしています。

また、自家用車たちは持ち主に親近感を覚え考え方も似ている傾向があるため、

クルマたちにもそれぞれ性格があったり、車種によって誇りがあったりと様々。

緑デミオは望月家に似て優しい気質の持ち主であり、同じメーカーのアテンザに親近感を持ったりしています。

隣車のザッパは、持ち主が学校の先生のため厳格で、主人が聴いているフランク・ザッパを同じくこよなく愛しています。

人間の世界と同じように、車たちの世界にも”社会”が存在するのです。

この本を読み終わって

この物語では、望月家の会話と、車同士の会話の両場面から構成されています。

車の中で話している内容はデミオにもわかるのですが、

車を離れてしまうと人間たちの会話を聞くことができません。

一方、人間たちは車の会話を聞くことができないため、車たちが得た情報を知ることが来ません。

私たち読者だけが、人間側とクルマ側両方から情報をえることができるため、より深くこの事件の真相に近づいていきます。

この物語を読み終わった後、自分のクルマや身の回りのクルマたちが会話をしているかも?

なんて妄想が膨らむ一冊です。

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