先日、友人の紹介で初めての人たちとごはんを食べに行くという出来事がありました。
見知らぬ人たちが集まると話題になりがちな「血液型性格診断」。
「〇〇さんは…A型っぽい!」
「B型!?えー見えない~」から始まる定番の会話。
自分のことも、相手のこともわかる手軽に盛り上がれるのでつい話題にしがちなテーマ。
このように血液型性格診断や、占いなどの結果をみて「当たっている!」と思うことはありませんか?
心理学を学んできた身としてはその話題、信ぴょう性に欠けますよと。
血液型性格診断は、心理学の世界では否定されています。
それでもなぜ人は「当たっている」と思うのでしょうか?
その答えは「誰でもさまざまな性格をもっている」からなのです。
几帳面だといわれるA型の人だってO型のように大ざっぱな一面もあるでしょう。
もちろんその逆もしかり。
私はO型ですが、それぞれの血液型の特徴といわれる真面目、気分屋、大ざっぱ、二面性どれも当てはまると感じています。
そこには私たちが持っている認知のゆがみや偏りである「認知バイアス」が関係しています。
「認知バイアス」とは?
認知バイアスとは、私たちが意思決定するときに、先入観や経験則、直観などに頼って非合理的な判断をしてしまう心理傾向のことを指します。
いわば「考え方のクセ」ともいえる認知バイアスですが、悪い側面だけでなく、直観的で素早い判断を下すために役立ちます。
一方、無意識のうちに非合理的な考えに陥る原因にもなります。
人には考え方のクセがある。
と一歩引いて物事を判断することは人生の選択においてきっと役立つでしょう。
「バーナム効果」とは?
ほとんどの人に当てはまるような、性格についてありがちな説明を、自分のことを言い当てているとして受け入れてしまう現象のことをいいます。
錯思コレクション100にバーナム効果の面白い例題が載っていますので試してみてください。
錯思コレクション100 バーナム効果
人は多くの人に当てはまる記述を、自分だけに当てはまると勘違いしやすいのです。
あなたは周りの人とうまく合わせることができる人だね。
でも一人の時に考えすぎてしまうこともあるんじゃないかな?
なんて言われたら、私のことわかってくれてる!と思ってしまうでしょう。
「あなたはこういう人です」と示した内容に合致する部分を、人は後付けで自分の中から探し出してしまうのである。
認知バイアス辞典 p193
「ステレオタイプ」とは?
似ているもの同士で分類(カテゴリー分け)し、それが社会的に共通の特徴であることを「ステレオタイプ」いいます。
人は無意識のうちにあるカテゴリーに所属する人たちをステレオタイプで大まかに判断する傾向を持っています。
〇〇さんてA型らしく几帳面だよね
日本人は真面目で勤勉だよね
もちろん、実際にはA型で几帳面な人もいれば、大ざっぱな人もいます。
これは相手の様々な情報のうちステレオタイプに合った部分だけを見てしまうことが原因です。
共通点を見つけて盛り上がることもあれば、一歩間違えると相手を不快にさせたり、差別意識につながる恐れもあります。
占いや血液型診断を信じるのはいけないこと?
ここまでお話ししたように、人はたくさんの人に当てはまるもののなかから自分に当てはまるところを見つけ出して、「当たっている」と感じるのです。
では占いや血液型診断を信じるのはいけないことなのでしょうか?
その答えはNOです。
先述した通り、共通の話題として占いや血液型性格診断などを楽しむのはみんながわかりやすく手軽に盛り上がることができます。
バーナム効果も、ステレオタイプも共感を得やすい認知バイアスなのです。
一方、占いで悪い結果に目がいってしまったり、あの人は〇〇だからきっと仲良くできない。
などと負の感情に持っていかれるのであれば注意が必要です。
そんな時はこれはみんなに当てはまる、今自分はステレオタイプのフィルターがかかっているな、と少し距離を置いてみることが大切です。
まとめ
- 人は知識や様々な経験から認知にゆがみや偏りを持っている。
- 人は様々な情報の中から自分に都合の良い情報だけ目をつけやすい。
- 人は個人の特徴でなく、所属する社会的イメージで判断しやすい
そのことを知っているだけで歪められた情報に振り回されなくなります。
占いや性格診断などは「適度に楽しむ」心を持ってくださいね。
参考文献
川合 伸幸:認知バイアス─判断し行動するときの心のクセ─,作業療法 43 (2), 159-163, 2024
杉山 幸子:自己概念に及ぼす血液型ステレオタイプの影響およびバーナム効果の検討,八戸短期大学研究紀要 = The bulletin of Hachinohe Junior College 28 47-57, 2005
情報文化研究所 :情報を正しく選択するための認知バイアス事典,フォレスト出版,2021
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