なぜ人は何かに「依存」してしまうのか

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こんにちは。甘味です。

いきなりですが皆さんは一日何時間スマートフォンを見ていますか?

私のスマホを今確認してみたところ……

24時間で画面オンだった時間はなんと6時間7分!

ふ、普段はこんなに多くないんです……と言い訳をしたところで。

本日は身近に潜む「依存症」についてお話ししたいと思います。

「依存症」とは?

依存症とは、特定の何かに心を奪われてしまい、「やめたいのにやめられない」という状態に陥ることを指します。

特定の刺激や快楽を強く求める傾向を「アディクション(嗜癖しへき)」と言います。この嗜癖がコントロールできなくなると「依存症」という状態になります。依存症の原因は多岐にわたりますが、共通しているのは自分の抱える苦痛から逃れようとする心理を指します。

わかりやすい言葉では「のめり込む」「はまる」といった状態です。

アディクションを大きく分けると物質嗜癖、プロセス嗜癖、人間関係嗜癖の3つがあります。

物質嗜癖

物質嗜癖とは、物質を摂取することに依存することを指します。

代表的な依存症として挙げられるのはアルコール依存症です。

精神に依存する物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や回数では満足できなってしまい、次第に自分でもコントロールできなくなってしまいます

プロセス嗜癖

プロセス嗜癖とは、物質ではなく特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめりこんでしまう症状のことを指します。

冒頭で述べたスマホ(インターネット)依存症やギャンブル依存症などが挙げられます。

高揚感を与えてくれる行動へののめり込みから起こり、その行為を繰り返し求めるようになることがあります。

人間関係嗜癖

人間関係嗜癖とは、モノや行為に依存するのではなく、

特定の人間関係にのめり込むものを指します。

相手との関係性に過剰に依存する共依存症などがこれに当たります。

特に配偶者、親族、恋人、友人などの身近な人が対象になりやすいです。

典型的な例がDV(ドメスティック・バイオレンス)を享受してしまう共依存症です。

依存症の問題

インターネットやお酒、人間関係など依存症になりうる因子は、

適度にお付き合いできればストレス解消になったり、

生活を豊かにしてくれるものも多いです。

アディクションが起こる背景には、自分が抱えているつらさから逃れ、自分を癒そうとしていることが考えられます。

では、依存症の何が問題なのでしょうか?

それは「自分で自分をコントロールできない状態」になってしまうことが問題なのです。

依存対象のことを大事にしすぎることで、自分や家族の生活に不都合が生じてしまいます。

例えば、繰り返される飲酒、薬物使用、ギャンブルなどの行為は脳の状態を変えてしまい、欲求のコントロールが困難になっていきます。徐々に、これらの行為が優先されることで、他の重要な活動が疎かにされてしまいます。これにより、自身や家族の健全な社会生活に悪影響を及ぼすことがあるのです。

なぜ自分の意志ではやめられない?

その鍵は脳にあります。

私たちの脳は、ドーパミンという快楽物質を分泌します。この物質が放出されると、中枢神経が活性化し、快感や喜びを感じることにつながります。脳がこの感覚を報酬として認識すると、その報酬を求める神経回路ができあがります。

本来は成長過程において「できた」や「ほめられた」など自然生成されるドーパミンにより、人は頑張ろうとモチベーションを持って物事に取り組むことができます。

面倒くさくても、難しくてもその先に喜びがあることを知っているから、努力ができるのです。

しかし、薬物などによって得られたドーパミンの衝撃が忘れられなかったり、ある行動によって強烈なドーパミンを感じることでこれまでに味わったことのない快感が強烈な印象として脳に刻まれ、もっともっとと繰り返すようになるのです。

身近に潜む依存の正体

私たちの普段の生活は多くの刺激に満ち溢れています。

その中で多かれ少なかれストレスや不安を抱えてしまうことはよくあることです。

息抜きにインターネットを楽しんだり、ゲームをしたり、疲れた時には栄養ドリンクに頼ったり。

私自身の生活を振り返ってもこれらの行為はとても身近にあるものです。

私の趣味のサイクルはおおよそ3~4か月で興味が移り変わることが多いです。

ゲームにすごくハマって毎日やってしまうことももちろんあります。

それでもある時「飽きる」タイミングが来るんですよね。

そうすると次の興味に移っていく。

この「飽きる」という感覚は、最初は新しい体験をすることでできることが増えていく。

すると脳内にドーパミンが出てまたやりたいと思う。

次第に同じこと、できることが多くなるとドーパミンが前ほどでなくなる。

そして「飽きる」ことで対象から距離を置くようになる。

ただこのハマった状態が中には度を越してしまうことがあります。

四六時中そのことを考えてしまう。

睡眠時間など大事な時間を削り体調に支障をきたしてしまう。

囚われて周りや自分を大切にできず傷つけてしまう。

それは依存してしまっている本人のせいだけではないのです。

環境やストレス、考え方など様々な要因があり、

そのつらさから目をそらすために手に取ったのがたまたま

「依存」という形になって表れてしまうこともあるでしょう。

依存症にならない方がいい。

それでも人は失敗することもあるし、立ち直ることができます。

まずは「依存症」について正しい知識を持つことで

みんなが暮らしやすい未来をつくることができると思います。

参考文献

書籍

『世界一やさしい依存症入門』 松本俊彦著

『決定版 面白いほどよくわかる! 心理学 オールカラー』 渋谷昌三著

HP 

厚生労働省 依存症についてもっと知りたい方へ

依存症についてもっと知りたい方へ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Psycho Psycho 依存症とは?種類一覧とその原因、なりやすい人の特徴を解説

依存症とは?種類一覧とその原因、なりやすい人の特徴を解説 – Psycho Psycho (psycho-psycho.com)

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